看取り

介護施設より介護計画の書面が届く。

いつものように軽く眼を通し、いつものように署名をする。

ただそれだけのことなのに、今回は違った。

母の体力が衰えてきたこともあり、看取りについての確認書もあったのだ。

複雑な気持ちではあるが、覚悟はしている。

母の意思も確認済だし。

そういえば、亡き夫は叔母の連絡先となっていた時期があり、入院していた病院からも看取りの話をされていた。

先方としては早い段階での意思確認を求めていたが、既に体調を崩していた夫にとっては苦痛だったようで。

その時が来たら考えればいい、と怒りながら対応していた。

今にして思えば、未来のことを考える余裕が失われていたのだろう。

自分のことで精一杯だったのだ。

一方の私。

少なくともあと30年は生きる予定でいる。

だからだろうか、冷静に判断し、必要書類にも署名が出来る。

勿論、母にはまだまだ元気でいた欲しい。

けれど、現実的な判断も必要なのだ。